夏のみんなのコード諸々活動します その2/3

8月7日に「先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本」という本を刊行します。

先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

感じていた課題感

思えば、構想から刊行までちょうど1年でした。また、プログラミング必修化の「議論の取りまとめ」が出てから約1年強でした。

(賛否両論ありますが、)プログラミング的思考を育むべく教科の中でプログラミング必修化するという方針の中で、様々な解釈・授業事例・授業以外の取組が出た1年であったと思います。

ただ、客観的に見て、「子ども達の為になるか」「『俺の考える最高のプログラミング教育』になっていないか」「普通の学校の先生がトライできるか」等々の観点からみて玉石混交であったと思います。

文部科学省の必修化に至った経緯から授業実践事例紹介まで 多面的にプログラミング教育を紹介する一冊 にまとめました。

中身

私(と共著の佐藤さん)が書いた部分も読んでほしいのですが、みんなのコードとご縁があった方のインタビューを中心にじっくりご覧いただきたいです。

  • 巻頭にはプログラミング必修化を取りまとめた大杉教育課程企画室長(当時)のインタビューを掲載しました。
  • 第一章では、プログラミング必修化を別として、そもそもコンピュータ・プログラミングとは何かを改めて考えるところからはじめました。
  • 第二章では、政府 / 文部科学省 / みんなのコードがプログラミング教育で何を目指しているのかを議論しました。若干、違っています :-)
  • 第三章では、今般の必修化でのポイントとなる「教科の中でどう実践するか」を中心に議論しています。
  • 第四章が一番の見どころで、各学校での実践例7件を掲載しました。授業の準備・授業の狙い・やってみての気付き・利根川からのコメント等で様々な教科・学年での実践事例を集めています。
  • 第五章も読者によっては深く読んで欲しい章で、首長・教育長・教育委員会・校長がどうプログラミング教育をリード or 支援するかをインタビューしました。
  • 付録としてプログラミング教材リストと指導要領解説の関連抜粋もございます。

「プログラミング教育明日会議」来場前に是非ご一読し予習いただけると、事例発表や教材研究をより深い学びがあるのではないかと思っております。

さらに

プログラミング教育明日会議や各種研修会等のみんなのコードイベントに本書籍を持参いただいた方に「 学校のパソコン室に貼れるプログラミング普及啓発ポスター 」を差し上げます! (枚数に限りがあります><)

Amazonで早速ポチッてください

先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

先生のための小学校プログラミング教育がよくわかる本

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夏のみんなのコード諸々活動します (その1/3)

すっかり夏ですね。

全国で「プログラミング教育明日会議」という小学校プログラミングのシンポジウムを中心に各地で活動します。

(私は1ヶ月で飛行機に10回乗り、合計11泊18日のツアーのようです。)

「プログラミング教育明日会議」

プログラミング教育の「明日が分かる」、「明日から実践できる」ということを目指して、全国10都市で今年度キャラバンを実施しています。 夏休みはそういった先生向けイベントの一番適した時期なので、5都市で実施します。

開催概要

都市と日時

詳細web

(その他、香川でも実施しますが満席の為、略)

後援等

今まではイベントの中身を作るところにいっぱいいっぱいで後援申請とか出来ていなかったのですが、今回は内容や登壇者面で文部科学省と連携する事も多く、後援を頂戴することができました。

開催の狙いと内容

各都市とも、プログラミング必修化に必要な要素を可能な限り1日で吸収出来るようなコンテンツにしています。

具体的には、プログラミング必修化の狙い (文部科学省の方や私)、先行実施した先生からの発表、模擬授業、教材研究、情報交換会と盛りだくさんのコンテンツにしています。

小学校プログラミング教育の勉強会・研究会で、「理論 or 実践」、「現場の先生 or 本省や有識者」、「実践の報告 or 教材を手にとっての研究」、「先端的な人からのインプット or 自分の悩みのアウトプット」とそれぞれ両面で捉えている会は他に無いのではないかと自負しております。

夏休みも何かと忙しい先生に、1日で把握しにくいプログラミング教育を多面的に理解出来るようにと思っております。

小学校プログラミング教育関係の皆さま、是非お近くの都市の会場に足をお運びくださいませ。

他にも

8月4日@新宿

一般社団法人 日本教育情報化振興会のEducational Solution Seminar 2017でも登壇 & 模擬授業を実施します。「少人数での話聞きたい。」「じっくり体験授業受けたい」等の方にはこちらもオススメです。 > 申し込みweb

総務省「若年層に対するプログラミング教育の普及推進事業」

北海道・新潟・横須賀で実証事業を実施します。総合的な学習の時間でも実施可能な内容を夏休み特別授業等で実施します。見学Welcomeですので、ご興味有る方是非お越しください。(研修と実践の参観両方あります。) > 申し込みweb

「プログラミング教育明日会議」のお申込みこちらから

東京都「高度IT利活用社会における今後の学校教育の在り方に関する有識者会議」にて発表してきました。

先日より東京都の「高度IT利活用社会における今後の学校教育の在り方に関する有識者会議」を拝命しているのですが、発表する機会があり私見をお伝えしてきました。

そもそも何の会議?

設立の趣旨は東京都教育庁のwebにありますが、

ざっくり言うと「2020年からの次期学習指導要領での小学校プログラミング必修化どうしましょう」、「そもそも社会がITで変わっているんだから教育も変わらないと行けないよね(でも教育界の人だけだと正直良くわからないよね)、「東京としては首都だしプログラミング教育の全国の手本となりたいよね」というあたりを考える会議です。

みんなのコードとしては現状プログラミング教育の課題は地方の方が大きいのですが、「全国の手本」を考える機会になるので、ご協力させていただきました。

何話してきたの?

  1. みんなのコードとは、2. 現状の課題、 3.ざっくり提言 をしてきました。

www.slideshare.net

現状の課題としては、

「ヒト」「モノ」「カネ」の3観点からお話ししました。

ヒトの観点

「校長がみんなのコードの指導教員養成塾への参加したい教員にストップを掛ける(他県ですが)」等「管理職・ベテラン」がボトルネックになりがちな傾向をご指摘しました。

モノの観点

教材については、ハード面(PC/タブレット/ネットワーク等汎用インフラとしての課題)やロボット系プログラミング教材が学校外教育向けや国外初のモノが中心という点を指摘しました。

カネの観点

予算を付ける機運が無く、トップのセンスと手腕により自治体・学校間格差が広がっている現状を指摘しました。

という点を全国各地を回っての所感としてお伝えしました。

今後の提案としては、

啓発・人事・予算の3点をご提案しました。

1. 国民・都民への啓発運動

国内他領域で言うと、クールビズプレミアムフライデー、海外同領域で言うとHour of Code のイメージの必要性を訴えました。

2. 人事制度

現状の管理職にプログラミング教育をちゃんとやってくださいというのが一般的には適材適所とは思えないので、30代や外部IT人材からの校長登用)の抜本的なテコ入れを提案しました。

3. 予算付けましょう

トップのセンスに左右されないよう普通の自治体の普通の学校が普通にプログラミング教育始められるよう

との3点をご提言してきました。

しかし、こういった会議に参加させてもらい感じるのは、自分の考えを見直す絶好の機会になるとの、他の先生方のご意見に学ぶことが多くとてもありがたい機会だなということです。

Raspberry Pi 自治体向け周辺機器を考えてみる。

某お世話になっている市の中の方から 「Raspberry Pi 買うことになったんだけど周辺機器の調達仕様書くのつらくて助けてほしい」と言われたので、 「これと同等品と指定したらいいんじゃないですかね」というリストを調べてみました。 (普通です。)

【5/4追記】

阿部先生より「1. モニター / 3.マウス / 7.充電器 あたりが適正ではないのではないか。また、現場での検証をしないままオススメ記事にするのはリスキーではないか」(←筆者要約)という主旨のご意見を頂戴しました。 > 詳細

某市のプロジェクト後、検証結果等は改めて記事化したいと思います。

もし、実際に導入を準備している自治体の方がいらっしゃいましたら、 そのまま仕様書化する前に必ずみんなのコードへお問い合わせ いただきますようお願い致します。

【追記ここまで】

続きを読む

オンラインプログラミング教材始めました。

昨日プレスリリースを出しましたが、プログルというオンラインプログラミング教材をリリースしました。

proguru.jp

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開発を始めた理由

2020年小学校でプログラミングが必修化されます。ただし、幾つかの制約や実現への課題があります。

  1. 新規の時間ではなく総合的な学習の時間や算数、理科等の既存の教科の単元の中での実施が主流になります。「プログラミング入門」x「教科の学習」を両立出来る単元は正直中々ありません。
  2. インフラの整備が自治体ごとにバラバラです。
  3. 教員の現在のITリテラシーが平均的に高くなく、新しい事に取り組もうにも長時間労働の問題等もあり新しい事への学びがスムーズとは言い難い面があります。

先生の準備・ITリテラシーに左右されずに、教科の中でスムーズに、貧弱なITの環境でも使える教材が必要だと考え、昨年秋から開発の検討を始めました。

算数xプログラミングにした理由

開発を始める時に可能性のありそうな教科の教科書をまとめて買ってきました。

様々な教科の教科書を横断的に検討し、教科の面では算数にフォーカスしました。

よく上がる教科を今回我々が棄却した理由としては

  • 理科:小学校の理科は複雑な自然を体験/観察する事が重視され、ソフトウェアでのシュミレーション等は馴染みにくそうと考えました。
  • 図工:創作的な活動を考えるとScratchの車輪の再発明をするのはナンセンス。

等々です。

一方で小学校の 算数は「抽象的な概念の初歩段階を扱う」為、プログラミング入門との相性が全体として良さそう と考え算数にフォーカスすることを決めました。

公倍数xプログラミングにした理由

算数でも幾つか気になる単元があったのですが、既存の教科書の内容とソフトウェアエンジニア界隈で良く扱われる内容が重なる領域として公倍数xプログラミングを選びました。

ソフトウェアエンジニアの世界でFizzBuzz問題というコードが書けないプログラマ志願者を見分ける手法があります。

これと同内容が公倍数の単元で「1から数を数えて、3の倍数で手を叩いて、5の倍数だと足踏みをするゲーム」というのが出ていて「これは教材化するべきだろう」とほぼ即決しました。 (エンジニア界隈の言葉で言うと「小学生が必修化を通じFizzBuzz問題を理解出来る」という状態を目指すことになります)

どのような教材か

みんなのコードが従来押していたHour of Codeはビジュアルxドリル型のオンライン教材で、先生の指導が少なくても児童が各自のペースでプログラミング入門学習するのに適した教材です。

しかし、今回の我が国の必修化の文脈ではドリルの内容が決まっているがゆえに「教材とどう紐付けるか」というのがしばしばネックになっていました。

ビジュアル x ドリル型の良さは活かしつつ、プログルはそのままで教科の中で使えるように開発 しました。

どのように使って欲しいか

本教材は現状5年生算数の公倍数でしか使えません。

一方で必修化に際して「小学校の6年間で公倍数のプログルだけやってプログラミングをしたことにする」ようにはしてほしくないと考えています。

本教材により多くの先生に「これならプログラミング教育が自分でも始められる」とまずは気づいていただき 、そこから Hour of Code / Scratch 等の 他のプログラミング教材でのより深いプログラミング教育に興味を示していただきたい と思っております。

「失敗を恐れないでチャレンジする」ということ

教育行政と新しいことをやっているとよく「失敗を恐れずにチャレンジする」という話がでます。

プログラミング教育の導入期には「失敗もあり得る」とMicrosoft副社長、「教師・生徒がともに試行錯誤していく中で成果を」

チャレンジする主語は子どもだったり、成長してからの大人だったり、教員だったり、学校だったり、時にはみんなのコードだったり、さらには文部科学省だったり色々なのですが、どうも目線があっていないのではないかと思う事があります。

「失敗を恐れない」のイメージ

教員・官僚等の公務員系の方の「失敗を恐れない」は下図のようなイメージに感じます。

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「今までのやり方だと失敗しないで当たり前、でも多少の失敗が出ても咎めない方が良いだろう」という考え方に感じます。

一方で、自分が新しいことをチャレンジしている中(や恐らく多くの上手くいっているベンチャー)では下図のようなイメージで考えています。

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違いは何でしょうか、見ての通りチャレンジの数がまず違います。

評価のルール

では、どちらが優れているでしょうか。

これは採点ルールで変わります。

「昔ながら公務員ルール」

The 減点主義

  • ◎ 20点
  • o 10点
  • x -100点

→ 公務員的従来の仕事 90点

→ 公務員的チャレンジ -10点

ベンチャー的チャレンジ -1400点 oh,,,

「チャレンジング公務員ルール」

☓ の減点を減らそうと考えてみる

  • ◎ 20点
  • o 10点
  • x 0点

→ 公務員的従来の仕事 90点

→ 公務員的チャレンジ 100点

ベンチャー的チャレンジ 100点

「真のチャレンジャールール」

大成功にこそ価値がある。また、失敗からも学べる事があると考えている。

  • ◎ 100点
  • o 10点
  • x 1点

→ 公務員的従来の仕事 90点

→ 公務員的チャレンジ 91点

ベンチャー的チャレンジ 150点

どうしたら良い?

一概にどの採点ルールが良いかとはいえません。

(当然私もお医者さんには失敗を危惧して安全第一で治療して欲しいです)

しかし、あなたの上司/クライアント等が「 失敗を恐れずにチャレンジして欲しい 」と口先で言っている時、「 どのルールを頭に描いているのか 」を考え・確認してみるといいのではないでしょうか?

そのルールは妥当なのか 」、「 ルールを変えるとしたらどうするべきなのか 」是非議論していただけると、教育行政全般ももう少し「 失敗を恐れずにチャレンジする 」ようになるのではないかと思います。

小学校学習指導要領(案)が公表されてのパブリックコメントと所感

昨年12月の中教審の答申を受けて学習指導要領の改定案がパブリックコメントに出されました。

パブリックコメント:意見募集中案件詳細|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ

全体として

個人的にも昨年開催されたプログラミング教育についての有識者会議で提案したことを、学習指導要領という硬い枠組みの中で可能そうな範囲においては、だいぶ反映されたように思います。 プログラミング教育については、「総則」、「算数」、「理科」、「総合的な学習の時間」で言及されております。総則では、プログラミングについて各学校が計画を立ててに実施する(カリキュラムマネジメントする)よう定められています。

ただ、昨年秋以降新たに出てきている課題や今後出てくるであろう課題等を改めてパブリックコメントから下記のようなことを書こうかと思っております。

1. 教科での実践事例について

昨年の小学校段階でのプログラミング必修化の発表以降「教科内でプログラミング的思考を育む」との方針に沿い、様々な実践事例が出てきています。

今回の指導要領でも例示されている算数5年生の多角形の事例のような教科内かつプログラミング体験として親和しているものもある一方で、具体的な例示はしませんが教科との親和が低かったり、逆にプログラミング教育の入門としてミスリードな事例等玉石混交なのが実情です。

先日発足した「未来の学びコンソーシアム」等を通じ、こういった不適切な事例についての確認をする必要があり、逆に指導要領で具体的な列挙がされている単元以外でも今後適切な事例が生まれるはずであり、指導要領で例示されていない単元においても良い事例が広まるような活動を推進する必要があると考えられます。

2.プログラミング必修化の指導要領解説編への記載について

小学校段階のプログラミング必修化については、昨年4月の「産業競争力会議」での「第四次産業革命に向けた人材育成総合イニシアチブ」の中での発表以来、国内外の実践事例も少ない中、急速に実施の方向が取りまとめられました。

その中で「教科内でプログラミング的思考を育む」という実施に当たっての方針が独り歩きしており、その背後にある「第四次産業革命ともない社会構造が変わるので学校教育も変わる必要がある」、「身近な生活がコンピュータ・プログラミングの働きの恩恵を受けている」といった「プログラミング必修化に至った文脈」の理解が教育関係者においても弱い傾向があります。

今後の指導要領の解説においては、ぜひ「なぜプログラミング必修化なのか」を教育委員会指導主事や校長等の管理職がきちんと語れるよう「どのように実施すればよいのか」だけでなく「その根底にある考え」から解説する必要があると考えております。

3.プログラミング教育の各階層における普及推進について

小学校段階のプログラミング教育活動をしていると、各階層毎のプログラミング教育への理解が必要だと感じております。

A.管理職・教育委員会等、B.中核となる教員、C.現場の多数の教員、 の3つの階層とすると、

A. 管理職・教育委員会等への普及については、

自身がプログラミング教育に直接携わるというよりも「必修化について背景から理解すること」、「自身もプログラミングについて短時間で良いので体験し実感を持って理解すること」、「次項以降の教員育成の支援をすること」等がまずは必要になります。

B. 中核となる教員への普及については、

英語における推進リーダーと同様に中核となる教員をまずは養成することが必要だと考えられます。

中核となる教員については、遠方への出張も含めた広域での研修参加、ICT機器・ロボットも含めた教材や授業研究(予算措置含む)、自治体内での研修会のリード役等の役割が必要と考えられ、茨城県古河市におけるエバンジェリスト制度等が参考になります。

C. 現場の多数の教員への普及については、

以下のような平成32年度からの逆算が必要だと考えられます。

  • 平成32年度の全面施行を考えると、平成31年度に最低でも各校1名が授業を実施し、校内研修にて横展開する必要があります。
  • 平成31年度に各校1名が授業を実施する為には、平成30年度に最低でも全市区町村1名が授業を実施し、市内情報教育研究会等で横展開する必要があります。
  • 平成30年度に全市区町村で授業を実施する為には、平成29年度に全都道府県で先進市区町村等が授業を実施し、都道府県内で横展開する必要があります。

まとめ

指導要領にどのように入るのもとても大事ですが、実際にはここからきちんと日本全国の先生に届き、日本全国の子どもにプログラミング教育の機会が届くまでが困難です。

みんなのコードとしては、「全ての子どもがプログラミングを楽しむ国にする」とのミッションの下、今後も行政・企業等と連携していきながら小学校段階のプログラミング教育の普及推進に必要なことを実施していく所存でございます!