Code.org APAC Manager Jake さんの来日
Code.org のAsia Pacific ManagerのJake Bell さんが来日し、Googleさんがイベントを主催し一緒に登壇したのが非常にエモかったのでシェア。
1. 前座:私
2014年に前職のエンジニアと非エンジニアのギャップを埋めるために Hour of Codeを社員にし、面白いから子ども向けワークショップを翌月開催したところから始まりました。
その後、Code.org のコンセプトを参考に日本でもHour of Codeだけでなく、学校でもテクノロジーの教育必要だなと思い、非営利法人としてアプローチしてみようとみんなのコードを設立しました。
最初の1年強はHour of Code推しだったのですが、必修化が決まると既存の教科の中でという方針に合わせて研修をしたりプログルを開発提供したりと活動の方針を少し転換していました。
ただ、その後も Hadi CEOの来日イベントをしたり、私たちが逆に出向いて勉強させてもらっていました。
具体的には、一つ一つの教材ではなく、もう一つ抽象度の高いレイヤーで彼らの事業戦略やコンセプトをみんなのコードは参考にし続けていました。
メイン Jakeさんプレゼン
その後、 Jakeさんからのプレゼンでは、Code.orgのビジョンやなぜCS教育が必要なのか等を熱く語っていただきました。
個人的に印象的だったり、改めて大事だよねと思い出したのが、
1. Computerは大事なことなので、義務教育でも学ぶべき、例えば人体と同じように
Computer はあらゆるものと統合され、これからの社会を創っていく基盤的な技術。 そして、人体について現行の教育でも扱っているのは、別に医者を目指すわけではなく、単に重要であるから。 Computer についても「教養として学ぶべき」
2. Computer Science の印象を壊すのが Hour of Code
オタク向けだったり、難しいと思われているComputer Science(あるいはCoding、プログラミング)のイメージを楽しくて難しくないものだよと変えるのがHour of Codeの良い点。 もはや自分にとって当たり前すぎて忘れていましたが、改めてそれを広めることの大事さを思い起こしました。
3. Hour of Code 利用者数日本が世界6位
これが一番驚いたのですが、日本からのHour of Code の利用者数が伸び続けていて、全世界6位。 1-4位がアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアと順当な英語圏、5位がサウジアラビアで、6位が日本とのこと。
みんなのコード始めて1年くらいは結構こだわっていたのですが、2016年の必修化の方針決定以来、トッププライオリティにはしていませんでした。その間界隈の皆様の盛り上がりによって気づいたらそんな結果になっていて、ただただ驚きです。(鵜飼さん@Googleも同じように驚いていました)
最近も各地の教育委員会から自治体内向けのプログラミング関係資料に掲載していいかとの問い合わせをよくいただくので、今後もこの傾向が続けばなと思っています。
一方で、Code.orgとしては本丸のCS入門等のアカウント数(先生・児童生徒)は30位台とHour of Codeと比べると低迷しているようです。 こちらは、日本の次の指導要領の方針を踏まえるとそうなるよなぁという感想です。。。
最後は
栃木県大田原市の黒田先生による事例発表。
Hour of Code・みんなのコードを知り、自分の担当の児童だけでなく、校内の先生、地域の先生にも広げていくリーダーシップさすがです。また、「コンピュータサイエンス教育週間」を学校の予定に位置づける取組も、その週全学年全学級でプログラミング体験をしている様子の写真は私だけでなくJakeさんにも印象的でした。
Jakeさんとも黒田先生みたいな先生が世界中の学校に一人ずついたら私達の仕事はどれだけ簡単だろうと話していました。
結論
さ、世界に負けず日本も頑張るぞー!
ヨーロッパ訪問記最終回
Disclaimer
利根川が代表を務めるNPO法人みんなのコードはGoogle.orgから寄付を受けています。 本渡欧についての旅費交通費は自己負担ですが、現地での交通や一部の食事についての便宜をGoogleより受けております。 本ブログについては、Google社ではなく、利根川の意向で執筆・公開しています。
1. アニカさん@スウェーデンヒアリング
1-1. Digitization or Digitalization?
- Digitization
- 情報を形式的にデジタルで扱うようにし、その業務のフロー等は変えないこと
- 以下、「表面的なデジタル化」という
Digitalization
- 情報をデジタルで扱うようにするだけでなく、本質的には情報の扱い方から変えて効果を最大化
- 以下、「本質的なデジタル化」という
例えば、(利根川の理解)
- 紙の時刻表を
- PDFにする > 表面的なデジタル化
- 乗換案内にする > 本質的なデジタル化
- 1人1台デバイスで
- 引き続き一斉指導・知識伝達型 > 表面的なデジタル化
- 個別最適化・学習履歴の有効活用等 > 本質的なデジタル化
- 紙の時刻表を
1-2. 立ち上げ
- 2009年 Sollentuna 市で先生をしていた
- 1人1台の試行が始まった。
- 本質的なデジタル化に取り組もうと決意
- その際に Google Drive等を使おうと決めた
- ネガティブなメディア報道や教育大臣も含め周囲の期待は高かったが、Wi-Fiが遅くて全然使い物にならず。
- ハイプサイクルでお約束の「幻滅期」に突入。
- 2010年から大学での研究と Sollentuna 市の研究開発コーディネーターに
1-3. 仕切り直し
- 教育学的知見に基づいて、最初から仕切り直した後、2013年の9歳の Literacy and Math のテスト結果にて、 「表面的なデジタル化 < 従来型 < 本質的なデジタル化」 となった。
- 本質的なデジタル化ではWTL(Write to Learn)法を実施
- 予め目標を共有
- 生徒同士は目標を見ながらGoogle classroom 等でお互いが書いたものに対してフィードバックしながら学ぶ
- Technology そのものがよいか悪いかではなく、使い方により結果が変わる。
- その後、先生向け・管理職向けもリサーチを実施 (メモ等整理が追いつかずブログでは詳細割愛...)
1-4. 拡大期
- もともと「各地各学校の自主性を重んじる」方向であったが、ことデジタルについては“自治体間格差” が問題となった
- どこかで聞いた話...
- 2017年 A national strategy for the digitalization of school ができた
- 2019年にアクションプラン実現するべく働き変えているが、18の提案に対してまだ5,6しか実行に移せていないので道は半ば。
- 学校内のリーダー不足も問題となっている
- スウェーデンは(フィンランドと違い)リーダーシップを取りたがる人が少なく、全会一致しないと動かないので歩みが遅い
- どこかで聞いた話...
1-5. 総論
- 表面的なデジタル化 / 本質的なデジタル化 という切り口は深い問いとして自分の中でもまだ消化不良
- 悩みは似ている部分があり、現地も見てみたい欲が出てきた。
2. BETT 視察
2年ぶり2回目のBETT Show。
前回は Micro:bit 教育財団とつながり、最近のプログル理科キット等に繋がったのが振り返ると最大の収穫。
今回は丸一日弱見て回り気になったプロダクトをいくつか紹介
2-1. Kano Computer
- 子供向け自作PCキットのKano Computer。
- 文具のように使うものを自作して同梱のステッカーも貼れたりして愛着を持って使えそうなので面白いプロダクト。
- ただ、従来は ラズパイにLinux系OS + 独自アプリという構成であったため、英語わからないと辛いなーというところだった。
- 最新版は「Windows10」が展示されていた!お値段は 299USドル也。
- Wi-Fiもあり、タッチスクリーンも物理キーボードもあり。
- もしや、今話題のGIGAスクール仕様じゃないか!?と思いましたが、あいにくカメラが着いていない。
2-2. Impero
- クラスルーム&ネットワークマネジメントシステム。
- 普通の先生でも使いやすいUI、IT管理者用にはもう少し高度(だが使いやすそう)な画面。
- クラス内のアクセス制限はそのクラスの先生がその場で解除(や制限も)出来るようになっている。
- アクセス制限した場合はそのスクリーンキャプチャが先生画面で見えている。
2-3. Prowise
既存の電子黒板で「本質的なデジタル化」を指向している製品。
ざっくり言うと
- 電子黒板
- Apple TV・ChromeCastのようなキャストシステム
- SkyMenuのようなクラスマネジメントシステムをはじめとした各種アプリ
が一体になっている。
3.全体として
あくまでサンプル数が少ない中の感想ですが、
アプリ
- 日本語だけだとマーケットが小さい & 日本の学校文化が独自であるため、アプリが少ない。数十分の一の印象。
制度の硬直性
- 人口1億人に均質な教育を届けているのが日本の良さではあるが、新しい取り組みには今回視察した各地のように、学校・校長への裁量権が必要。
- 一方で視察していない普通の学校がどんなものか分からないので単純な優劣を語るのは不適切。
- 学校と一体の公共体育館にカフェが併設されていたり、オフィスのあり方は数十年でどんどん進歩しているので学校ももっと変化しなくては。
リーダーシップ (主に校長)
- まずは抽象的でも良いのでエッジの効いたビジョンが必要。(「豊かな心を育み 自ら学び たくましく生きる子ども」とかそういう無難なのではなく。)
- 校長のリーダーシップの下、カリキュラム編成、インフラ整備、人事等の校長の権限を使い体制を整える。
- チームのチャレンジ・アクションを推奨し、失敗を許容する。
- 一発でうまく行かないので、改善を続ける。
- 不適切なメンバーにはチームを離れてもらっている。
- 新しい時代には、若いリーダーが必要。
先生
インフラ
- まともなWi-Fi大事。超大事。
- フィルタリングがという話を現場では聞かなかった。日本の学校現場で教育に差し支えるフィルタリングってなんなんだろう。
- (BETTでは製品の展示が合ったので存在してはいると思う。)
- 1人1アカウントでどのデバイスでもログイン後同じ状態で使えるChromebookよい
子ども
- とりあえずスライドが派手になるとかは万国共通で微笑ましかった。
- タイピングはやい (日本が遅いだけ?)
- 彼/彼女が英語話せなくても、Google翻訳を使いこなしてコミュニケーションしている。
まとめのまとめ
- 自分は日々日本の教育現場と向き合うばかりで、頭固く視野が狭くなっていたなと反省。
- 「海外進んでいますか?日本負けていませんか?」とかそういう単純な話に意味はない。
- 上手くいっている点から学び、日本の強みも活かし、少しづつでも良くしていくのみ。
- 一方で単純に一部のスナップショットだけを持ってこようというのもナンセンスなので、きちんとしたインプリメンテーションが必要。
イギリス学校訪問
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ロンドン学校改革記
オランダ・フィンランドにつづいき、同じく自分用のメモを整理して公開
Before
- 校長先生15年前に着任したときは全英で下から20番目の評価の学校だった
- 24%しか6年生の卒業基準を満たしていない
- スタッフのモラルも低い
- 地域での評判も悪かった
- 資金も集まらない
- 行政も心配する
- 環境的にも大変
- 66言語を話す子がいる (1,2人しか話さない言語もある)
- イギリスに来たばかりで6年生で英語を話さない子もい
- 「チャレンジングな仕事をしよう」とここに校長先生は来た
立て直し
信念を盛って戦略を立てた “Raise standard. improve behavior”
子どもたちを観察するとアート 、歌、ダンスとかが好き
- 毎年コンサートをやるように
廊下にもアートが (下写真)
カリキュラム
- 教科横断型・トピックごとのLearningを重視
- Always improving
体制の充実
- 学年60人に先生2人が基本だが、頑張って加配した。
- 下の学年からはじめ今では全学年3人に
After
- Ofstedという学校評価で最高の評価を獲得
- 2校目を今年開校、3校目も目指す
Luke head of ICT インタビュー
- 2012年にここに来た
- 2014年からの新しいComputingはなかなかHardだった
- 2017年 1人1台へ向けたチャレンジを開始 Wi-fi大幅に増強
現在は2年生以上が1人1台環境に
全先生がGoogle certification のLevel 1を取得、Lukeさんは更に高いレベルのものを取得し指導できるように
デジチャンピオン というデジタル委員会的な児童を認定(この日もプレゼンしてくれた)
- 普通にその辺の日本の大人だと敵わない熱の入った上手なプレゼン!
また、各学年のアルバム的なものを電子書籍で作っているとのこと
まずは先生にテクノロジーの便利さを実感してもらう為今まで年6回30分掛かっていた仕事を5分以下で終わるようなツールを作った
ICTが日常に当たり前にある姿を実感。
授業見学
- 3学年みたが印象的だったのが5年生のクラス
- テーマは「火山」 / 単元の流れはざっくり下記の構成で全16時間程度とのこと
- 火山について調べる
- 理科的観点
- 社会科的観点(災害の被害とか)
- まとめる
- 掲示物
- 新聞
- ニュース番組を作成
- グリーンバックを使って撮影
- 映像を編集 ←本時
- 火山について調べる
(現場では聞けなかったが)ニュースに要約する時点で何が大事なのか、何を伝えるべきなのかとか学習出来ると良い授業だなぁと推察。
ビデオ編集は 下記のWeVideoというオンラインツールを使用。当たり前にSingleSignOnとかしていた。
また、その他気づいた点
- 英語圏だとICT教材がそもそも豊富
- ICT教材がリッチであると先生が適当でもぱっと見それなりの授業に見える
- よく観察すると全体への発問の投げ方やグループでの考えさせ方とかは日本の先生の方が上手な印象。
- プロジェクトをリードしている先生と慣れていない先生でだいぶ差があるのが気になった
総論
オランダの学校視察してきました。
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昨日のフィンランドに続き、同じく自分用のメモを整理して公開
昨日は教育の深い話が中心でしたが、今日はG Suite + Chromebookのテクニカルな話多め。 写真が原則web NGのため文字ばかりで伝わりにくいですがご容赦を。
1.教育制度全般について
- 4歳から学校に通える(5歳から義務教育)
- 小学校卒業後、進学系と専門系に分かれる
- 小中高大学全て教育は無料(オルタナティブ教育の学校含む)
- 金融危機の際に、緊縮財政のため、教員を減らしたが団塊の世代が引退し現在教員不足に悩んでいる(どこかで聞いた話...)
- 学校には三種類
- 1720万人の人口、140万人の小学生
- 学校には児童生徒一人あたり年間 5000ユーロが政府から支給される
2. 視察先の学校
- 午前1校、午後1校視察に行ったが、いずれも同じ財団が運営している公立学校
- 7万人の街
- 財団は10の学校を運営している
3. Chromebookへのロードマップ
- 2012 試しに1台購入 > 2013 60台導入 (内40台Managed, 20台 not Managed)
- 最終的にはManagedに寄せる方向に。
- 盗難された際に消去する等の必要がある。
- 2015 先生用に300台導入、サーバー(校内?財団内?)をやめて全てクラウド化
- 2020 1500台強のデバイス、1.9人に1台。
- ChromeOSとWIndows機という共存は問題ないが、G SuiteとMS Officeの共存は課題があった。
- 例えば地域の図書館から送られてくる添付ファイル等。
4. 体制・働き方
- Rikさんは週2.5日ICT管理 / 週2日体育の先生として働いている。
- そもそもオランダでは週40時間より短い事が多い > 週4日x9時間にして平日も子どもと一緒に過ごす等
- フィンランドの男女平等は女性が従来の男性の働き方に寄る方向性だが、オランダの場合男性が従来の女性の働き方に寄る方向のよう
- Q1. G Suite複雑だけどどう学んだ?
- オランダ内で最初にGoogle系に統一した学校だったので、色々試行錯誤をしながら自習して学んだ。校内で副担当の人とディスカッションしながら進めた
- Q2. Chromeアプリのインストールとかはどうなっている?
- 先生が選んで、ITのスタッフがプライバシー等に問題が無いか確認している
- 基本的には無料のもののみ。一部書籍等に付随の有料のものも使っている
- 今後はGoogle Apps MarketPlace? も使いたい
- Q3. BYODしているの?
- 持って変えることはできないが、自宅のPC等でログインして同じ内容をみることはできる。
- Q4. 保護者との連絡等ではつかわないの?
- 使いたいが使っていない。プライバシー関係が今色々大変で・・・
- こんなところにもGDPRの影響が
- 使いたいが使っていない。プライバシー関係が今色々大変で・・・
5. 政府・自治体の役割
- お金:国→自治体→財団→学校
- 各学校→財団 に戻してITで一括購入する
- 建物は自治体が所有していることが多い。
- 政府の役割
- Goals to Achieve (小学校修了段階?)を決める
- どのように達成するかは各学校で判断する
- なのでxxの単元の標準時数はという概念はない
6. 研修
- 教師同士の研修もある
- 企業の有料のものにいくこともある
- G Suite関係は自分で学ぶものもある
7. 学校の様子・時間割
- 4歳からいるので幼稚園の雰囲気も強い
- Chromebookは廊下の保管庫に置いてあり各児童が勝手に取ってログインしている。
- 教室を見た感じ学校共通の「1校時」等は無く、教師が考える時間の単位で活動を進めているようだった。
- 上述のようにxxを◯時間やらないといけないとかがないので
- 時間割は原則として教師が決める
- 各生徒がカスタマイズ?する余地がある
- 早く終わった児童は廊下で興味あることをしているように見えた
8. Computational Thiningとかプログラミングとか
- 必修化されているの?
- そもそも政府のカリキュラムがゆるくてそういうのが無い
- Coding 週間みたいなのはあり、その時にやる (CS Ed Week?)
- Digital Literacy的な冊子が政府から配られた。
9. PBL とか
- 一時期オランダではPBL重視に振ったが、教科の学びが薄くなり、教科の学びが薄くなるとPBLとしても薄くなりがちで現在は教科の学びに潮流が戻ってきている。
- (その後の日本人同士のディスカッション)力量のある先生であれば、PBLと教科の学びを両立できるが、そうでない先生がPBLやると薄い学びに留まってしまいそう。
- なので大事なのは「さじ加減」かな (ベタな帰結
10. 教室訪問 10歳のYさんインタビュー
- 好きな教科は算数。
- 将来の夢は先生。
- タイピングもスムーズ
- Google Slideで頑張ってプレゼンテーション (プレゼンが派手なのは万国共通)
- Google翻訳も使いこなし、このインタビューを実施
- Scratchもしたことある。 (主に自宅・たまに学校。)
- 学校は楽しい (その他4人くらいも全員同じ回答!)
総論
- N=5だけど全員が「学校が楽しい」と言っていたのは素直に素晴らしいと思う。
- 日本の文部科学省の人と話すと「今度の指導要領ではインプットベースではなく何ができるようになるか」とおっしゃったりするが、オランダの場合は政府が山頂だけ決めて、その山をどう登るかを学校にきちんと権限移譲しているなという印象。
- 最適な学習方法は子どもにより違うので、複数の山の登り方を用意する制度思想は素晴らしいと感じる。(だからといって、雑に社会実装すると当然デメリットは出てくるのですが)
余談
細かいことを気にせず、日本の学校にも是非あったら良いなと意見が一致したのがこちらのビールも出してくれるカフェ。
学校・地域の体育館・このコミュニティカフェが一体の施設に入っているのでこんなことが可能とのことです。
フィンランドの学校教育事情視察してきました
Disclaimer
利根川が代表を務めるNPO法人みんなのコードはGoogle.orgから寄付を受けています。 本渡欧についての旅費交通費は自己負担ですが、現地での交通や一部の食事についての便宜をGoogleより受けております。 本ブログについては、Google社ではなく、利根川の意向で執筆・公開しています。
Google Educationチームの方とご一緒にBETT+ヨーロッパの学校を視察する機会に恵まれたので、
忘れないうちに自分の整理したメモを公開します。(誤字脱字や多少の聞き間違えあるかもしれません。。)
ハーマンキュラン校訪問
「学校じゃないような学校」と生徒が言っていたとのこと
(最近EUではプライバシーが厳しく生徒が写っている写真はWEB公開NGです..)
1. 1人1台Chromebook, G Suite & Google classroom
- 行政の予算で購入し、各自が好きなように使える。
- (他の方が見たとのことですが)NETFLIXのアイコンがデスクトップにある子もいたり自由な様子
- 座り方とかは学習規律重視の日本と違い自由であるが、端のソファーでスマホをいじっていた子も他の子がChromebookで開いているのと同じ画面を(おそらく自分の)スマホで見ているだけだった。
- 各自の文具になっているので、廊下でも持ち歩いているし、調理実習にも持ち込んでいた(このときは使っていなかったが)
- ちなみにICT支援員的な人は欲しいけど今は居ないとのこと
- その代わり「ICTサポート委員会」みたいなのを生徒がやっている
2. 学年150人を25人x6グループにし、1〜3グループで授業を実施している
- 例えば数学だと3グループ約75人に対し、先生3人、特別支援の先生1人、アシスタント1人の体制。
- 75人は各自の興味や進度に応じて小さなグループで学習をしている。
- 75人が入る大部屋 (Learning areaと言っていた) の横に主として特別支援対象の生徒用に小さな部屋 (たしかLearning roomと言っていたはず)がある。
- また、集中したい時には他の人の目線等が気になりにくいソファー等が有効につかわれているとのこと。
- 先生同士も他の先生の教え方が見れるので好評とのこと。
3. なぜこのような学校づくりをしているのか (校長・副校長セッションより)
- “Why do we have the school?” と問うている
- どのような資質能力が必要になるか
- 「個別に/共同的に学ぶプロセスを理解する」ことが大事
- ↑は各教科の学びと”少なく見積もっても同等かそれ以上に大事”
- 指導要領(的なもの)で「各教科に共通するSkill」と「各教科の学び」があり、従来は前者を適当に済ます先生も居たが、こちらの学校では前者重視にシフトしている。
- なぜ学びの個別最適化をしているのか
- 子どもたちには彼/彼女のポテンシャルをフルに発揮して欲しい ← そりゃそうですよね。
- そのためには「Try hard」が必要だが、そのために「がんばれ」というのでは無意味である。←ですよね
- 一番本質的には子どもが「意味がある」と思うことをやることが大事。←ですよねー
- しかし、「意味がある」と感じることには個人差がある。←ですね。
- なので、「個別最適」な学びが必要になる。← なるほどー!
4. なぜこのような学校づくりができているのか
- ご一緒した方とディスカッションしていたのですが「行政の予算(投資)」と「校長のリーダーシップ」という身も蓋もないところにたどり着きそう。
- 行政の予算は生徒一人あたり教職員数やChromebookへの投資で見て取れる。
- 校長のリーダーシップは日本と比較にならないほど強い
- 校長の裁量で教員の採用ができる (なお、クビには簡単にできない)
- 予算の権限も強い
- 学習に必要な備品も校長の裁量でできる(食事・建物は対象外とのこと)
- 人件費も (直接は聞かなかったが恐らく昇給判断も)
- “enough”な教員経験があれば校長になれるとのことで、「5年もあればenough」とのこと
- ゆえに30歳の校長とかも居て、変化の早い時代にはそういった校長が必要だとうとのこと(よく考えたら総理大臣34歳の国ですしね ^^;;;
5. 教育庁インタビュー
- 先生は全国で約12万人
- 尊敬される仕事として人気(給与がすごく良いわけではない)
- 修士号が必要
- 新採用の先生等に対人(児童生徒・保護者)対応を先輩がサポートすることが多い
- 日本と同じく社会人経験ある人は少ない模様
- 研修とか
- Professional Development (研修) を年間数日受ける”必要”があり、そのために授業を離れることができる
- 「日本だと行政の研修つまらないんだけど、どうなの?」との日本の先生から質問があった。同じ問題はフィンランドでもあるが行政がお金を出す研修についてはアンケートを取ってフィードバックしているとのこと
- “Learning community” が草の根的にあり、日本で言う校内研、市内研、あるいは全国で特定のトピックのもの等様々な形があり似ている印象。行政がお金の面のバックアップをすることもあるらしい。
- Innovation center
総論
- いわゆる課題感はほぼ同じ。
- フィンランドで未来志向の教育をしている人と、日本で未来志向じゃない人とを比較した時、前者の方が話が通じる気がした。
- 表面的にChromebookやグループワークに適した椅子とか買って真似してもしょうがなくて、背後の「どんな教育をしたいのか」のビジョンが大事。
- 一方でビジョンだけで投資(Chromebook & G Suite) や人事(75人に教職員5人配置とか) ができないとビジョンは実現できない。
コンピュータクラブハウス加賀半年が経ってのご報告
昨年度、ふるさと納税を活用し、本年5月に石川県加賀市にコンピュータクラブハウス加賀を設置しました。
そして、その報告会を12月1日に加賀市で、12月8日に東京で実施の段取りを組んでおります。
一方で、ご寄付いただいた方から「もっとクラブハウスの活動や寄付金の使途について報告してほしい」とのお声も頂戴しました。また、先日クラブハウスに来訪した市長からも「良いことなのでどんどん情報発信しましょう」との激励もいただいており、今後活動内容の発信に力を入れていこうと思います。
2018年12月ふるさと納税型クラウドファンディング開始
昨年度、石川県加賀市と、みんなのコードは、ふるさと納税クラウドファンディングを活用し、コンピュータクラブハウスを設置しました。
背景としては、みんなのコードは、2020年の小学校でのプログラミング教育必修化を支援してきました。しかし、学校内では時間数が限られていたり、学校に馴染めず不登校の子どもには機会を提供できない、という課題を感じておりました。
そこで、「全ての子ども」に「学校外での発展的なこと」をするために、より包括的なプログラミングを楽しむ機会が増える機会を子どもたちに提供するべく、本取り組みを行うこととなりました。
コンピュータクラブハウスとは、1993年に米国・ボストンで初めて設立された、子どもたちに「いつでも」「安全に」「テクノロジーを知れる」コミュニティのことです。加賀市とみんなのコードは学校や家庭以外にも、テクノロジーに触れることのできるサードプレイスを創ることで、子どもたちの得意や隠れた才能を発掘し伸ばしていきたいと思い、実施に踏み切りました。
返礼品のないふるさと納税でしたが、趣旨に共感いただき、ご寄付いただいた皆さま、改めて心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
そして2019年4月にはコミュニティマネージャーとして末廣が入社し、加賀市常駐でコンピュータクラブハウス加賀を運営する体制ができました。
2019年5月25日に無事オープン、正式スタート
2019年5月25日(土)に開催された開所式では、宮元 陸加賀市長をはじめ、多くの行政・教育関係者や、加賀市内の小学生・中学生20名が出席し開催されました。
開所式では、宮元 陸加賀市長からのご挨拶、来賓として馳浩元文部科学大臣からのご挨拶、米国・クラブハウス本部 事務局長のGail Breslow氏からのビデオメッセージ、来賓と参加した子どもたちとのテープカットが行われました。開所式終了後には、子ども向けのプログラミングワークショップも実施され、多くの子どもたちが電子工作やハッカソンに挑戦しました。
オープンしてから半年、850人の子どもたちに機会提供
オープンから半年。来場者約850人と盛り上がりを見せてきています。来場される方は市内外問わずその背景も様々です。初めは手探りで運営をしてきましたが、最近ではコンピュータクラブハウスが提供できる価値も明確になってきたので事例と合わせて紹介をしたいと思います。
コンピュータクラブハウスには設立当初から果たしたかった大きな役割があります。「才能発掘の機会提供」と「没頭できる環境提供」の二つです。 こちらはまさにその真価を発揮し、多くの子どもが本来出会うはずのなかった自分の側面を見つけつつあります。今回は数多くある事例の中から2人ほど事例を紹介させてください。
まずは一人目。 彼、まごう事なきエンジニアです。
現在、小学5年生の彼は独学でJavaというプログラミング言語をメインに学習を進めています。 コンピュータクラブハウスが主催するイベントにおいては、年上の人たちの中にあっても一際輝いていたのを覚えています。 開発に関して高校生と意見交換をしているのを見た時は思わず鳥肌が立ちました。
2人目 彼、スーパークリエイターです。
小学3年生ながら動画編集はお手の物、なんとクロマキー合成までこなしてしまいます。元々は地元のお祭りのPR動画を作りたい!とコンピュータクラブハウスを訪ねてくれました。現在では、脚本作り撮影動画編集と半年近くにわたるプロジェクトに取り組んでいます。
「次はゲーム実況の動画を自分でつくってみたい」という野望もあり、昨今YouTuberが小学生のなりたい職業ランキングで脚光を浴びていますが、彼の将来はYouTuberでしょうか。
もう一つ、半年のクラブハウス運営で思いがけず明らかになってきた価値があります。 それは「多様な個性をもつ子どもたちも受容するセーフティネット」としての側面です。
コンピュータクラブハウスは、学校に居場所を見つけられない子どもたちの居場所・才能を伸ばす場所にもなっています。
個人が特定出来てしまうので詳細はwebに書きづらいのですが、例えば、学校に行っていない子や、様々な発達の特性により学校での学習がなじまない子などが、頻繁に来ていたりしています。
このように、学校で居場所が見つからない子、あるいは、学校外でデジタルを活用し才能を伸ばす子どもたちが育ってきていると感じます。
初期研修
その他に、8月に新規でコンピュータクラブハウスをオープンした国・市のコミュニティマネージャーが集まり、本部が提供する研修にアメリカ・ボストンいってきました。
そこでは、主に「子どもたちが創造的に活動するための環境づくり」や「コミュニティマネージャーの役割」についてをみっちり5日間学びました。
企業とのコラボレーション
同じく8月にTech Academyさんとワークショップを実施しました。
ふるさとチョイスアワードでは優秀賞
また、12月にはふるさとチョイスアワードでプレゼンする機会に恵まれ優秀賞(最優秀賞は惜しくも叶わず!)をいただきました。
昨年度ご寄付いただいたお金の使い道
いただいた寄付金については加賀市からみんなのコードに業務委託費用として一括して1,000万円が支払われ、みんなのコードが日々の出納を担当しています。
これまでの使途と、年度を通しての着地見込みは下図のようになります。
一番多いのが人件費で、コミュニティマネージャー・メンター・東京のみんなのコード本部からの応援スタッフ分(各種イベント時等)が含まれます。続いて、東京加賀間の出張旅費、上述のボストンでの初期研修の費用の順になります。設備については既に整備されていた加賀市ものづくりルームという部屋を本年度は使用している為、比較的少額です。本社管理費は経理・広報等の費用になります。
来年度のこと
下記の今年度のクラウドファンディングページに記載しましたが、今年は2000万円を目標にクラウドファンディングを開始しました。
前年度では足りなかった設備類の充実、子どもたちを海外に連れていく機会を作りキャリアのエンゲージメントを高める機会提供、および同様の運営費用(人件費等)を募る為にクラウドファンディングの募集をさせていただいています。
その上で、来年度以降は皆様からのクラウドファンディングだけでなくその他の財源の確保方法(各種財団の助成金、企業版ふるさと納税、一般財源等々)にもチャレンジしていきたいと個人的には考えています。
引き続き応援宜しくお願いいたします!
最初のフルタイム社員に退職(された)エントリー
みんなのコード最初のフルタイム社員が退職し、退職エントリーが投稿されていました。
フルタイム社員に退職されるのは事業を始めて5年目で初めてなので少し振り返ってみました。
彼女のことを振り返ると、多くの立ち上げ段階のベンチャー企業と同じように彼女もこちらも滅茶苦茶でした。
2015年末に大阪でのプログラミング教育明日会議(シンポジウム)をリモートで手伝ってもらったという縁からオンラインでオファーをしました。大したスキルチェックもずカルチャーマッチだけで、オファーをしました。(成長企業あるあるの話ですが、今の当社の採用基準だと厳しいスキル感だったかと思います。)
そして、前のめりな彼女はオンライン面談の中で給料を聞く前に「入社します」と言い、さらに、「来週東京に引っ越します。」と逆にこちらも戸惑うスケジュールで入社となりました。
入社後は中々大変な時期が続きました。それまでのみんなのコードはいわゆる有名企業、外資IT系企業、ベンチャー企業のハイスペックプロボノと大学生離れした優秀なインターン生からなる組織でした。彼女はそういった人と議論した経験がほとんどない状態でその中に飛び込み、当初は毎週「論理的に物事を考えるとは何か」を1on1で叩き込んでいました。そして、それでもなかなか身につかず大変でした。。
しかし、一方で今回の記事でも書いてあるように、私のラクスルでの経験やみんなコードが立ち上がる過程で将来彼女の為になるであろうことは色々関わってもらいました。
言葉化出来るところだと、採用、新規プロジェクトのマネジメント、論理的な思考、古い組織との対応ですし、言語化しにくいところだと、代表の立ち振る舞い(悪い面も)やガッツの大事さとかもきっと吸収していると思います。
2年半を経て、今回の退職エントリではまともな文章が書けるようになっていて、当時を知る者としては大人になってからも本人の意志と環境があれば力がつくんだなと改めて感じました。
個人的にはもう少しみんなのコードで仕事をしてもう一段力を付けて独立すると良いのではないかとも思います。しかし、独立して先頭に立って頑張ることが何より力がつくのでここからは彼女の取り組みを支援していきたいと思います。
ほぼ同じ領域で、同じ方向を向いている非営利法人同士ですし、有難いことに新組織の理事もさせていただいています!
そして、彼女の取り組みも応援して欲しいのですが、みんなのコードもエンジニアやプロジェクトマネージャー、事業開発責任者等を絶賛採用中です。こんな社風の組織に興味ある方は連絡いただければお茶やオンラインミーティング等しますのでご連絡ください!