Microsoft Education Exchangeに参加してきました

Microsoft Education Exchange (E2) というMicrosoft社の世界中の教育イベントに参加させて頂く機会に恵まれました。英語の理解で多少怪しいところもあるかもしれませんが、気づいたことをふり返って見たいと思います。

そもそもE2とは

Who

世界中の92カ国574名の教員が集まるシンポジウムです。日本からは小中高の教員7名くらいが参加していましたが、文字通り「全世界」からシンガポールに教員が集っていて、遠くは南アフリカの先生、サウジアラビアの女性の先生等、名前しか聞いたことの無い国の方と触れ合う機会に恵まれました。

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世界中の先生によるポスターセッション

What

メインの教員向けとサブのNPO向けの2ラインがあったのですが、日本では得ることのできない濃い学びの4日間でした。

教員向けでは

  • 世界的にも素晴らしい取組をしている先生による発表
  • 参加者同士でのグループワーク (テーマはComputational Thinkingを活かして授業案を改善(Hack!)するコンペ)
  • 各参加教員による授業のポスターセッション

等が行われました。

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ガーナで黒板でMSワードの授業をした先生が招待されて登壇

NPO向けでは

  • 本家 Prof. Tim Bell によるCS Unpluggedのレクチャー
  • code.org のよるComputer Science のFrameworkを考えるセッション
  • OECD, シンガポール, フィンランド等の先進的な取組の発表

等がありました。

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CS Unplugged 本家 Prof. Tim Bell と

Why

その名の通り「Exchange」に価値があったと思います。「指導要領が」とか「校長の理解が」とかではなく、どのような授業をしたら良いのかを参加者がそれぞれの頭で考え、それを他の参加者に伝えて、また考えを進化させていきました。数日の間ですが普段とは違うインプットとアウトプットを繰り返す事で考えを深めるそんな狙いで開催されているのだと感じました。

何を学んだか

自分の学びを振り返ると日本の立場を以下の三点から客観的に見ることが出来るようになったかと思います。

1.「Perfect Countryはない」

OECDの人、シンガポールの人、フィンランドの人などが登壇するパネルディスカッションで気づいたことです。シンガポールフィンランドの両国は同様にPISAのスコアが高いのですが、アプローチは両極端でした。シンガポールは標準となる機材(この時はmicro:bitの発表)を決め、全校に配布し、授業案を一つ開発してもらうというトップダウンの取組でした。一方のフィンランドは監査やルールではなく、教師の「信頼」に任せ、教師が新しい事を学ぶ余裕や、きちんと教育されている人が教師に就く制度を設計しているとのことでした。文化・政治等々の状況は国によって違うので、「銀の弾丸」は無く、自分たちはどうするべきなのかは自分たちで考えなければなと当たり前の事を確認しました。

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OECDシンガポールフィンランドの人などが登壇したパネルディスカッション

2. 日本の強さ

日本の先生の「授業作りの力」は高い(んだろうな)と感じました。Computational Thinking をComputer Science でない授業に取り込むという授業案を考えるコンペに私も参加したのですが、日本の先生が普通に考えている「単元/授業を通してのストーリー作り」やプログラミング指導教員養成塾で出ていた「国語での作文の大枠の作り方にComputational Thinkingを取り込む」といった授業の骨組みを作る考え方がチーム内から高く評価していただき、結果的にも表彰いただくことができました。選ばれし先生達が参加していますし、授業の現場を見せていただいた訳ではないのですが、テーマが決まってからの授業作りの腕については自信を持って良いと思います。

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私の所属したチームが表彰された!

3. 日本の弱さ

一方で課題もあります。まず、意思決定や改善のスピードです。北京で学校教育を支援している組織の人と話したのですが、「北京の学校は意思決定が導入まで3ヶ月も掛かって遅すぎる」と言っていました。この他にもアメリカでのcode.orgの教員養成やComputer Science Framework の早さをみているとこのままでは日本はまずいと感じました。次に自信を持って発表していく力が弱いと感じました。全参加教員によるポスターセッションがあったのですが、正直クオリティに疑問を感じるものも多くありました。しかし、皆さん自信を持って発表しており、「自信を持って発表していく」という姿勢はもっと見習わねばと感じました。

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作成した人曰く 「Computer Science Education の Everything が入っている」

次に活かそうと決めたこと 〜 Beyond 2020 〜

現状みんなのコードでの取組は2020年からの小学校プログラミング必修化のことにフォーカスしています。しかし、アメリカでのcode.orgの戦略、Computer Science Framework といったものを改めて学び直し何が次の教育に必要なのか考え行動に反映していこうと決意しました。

おまけ

打ち上げもグローバルでした ^^;;

↑全員先生 or 教育関係者 の打ち上げ